《第627話》『ニュルブルクリンク』
ニュルブルクリンク。ドイツの北西部、ラインラント=プファルツ州アイフェル地方、ニュルブルクにある超ロングサーキットの総称である。
20.832kmの北コース、5.1kmのGPコースで構成され、レースイベントの開催、車の性能テストなどと言った、車に関する様々な行事が行われる聖地。
GPコースは路面がキレイでコーナーも整っているため、比較的走りやすい一方、林の中にある北コースは愛称「グリーン・ヘル」と呼ばれるほどの高難易度で有名。
コース全体の高低差300m。超高速から超低速の172個ものコーナー(大半がブラインドコーナーと言うオマケ付き)。高速で通過するとジャンプする地点。
これに加え路面が平坦ではないことによるバーストの可能性や走行の不安定さ、埃っぽさゆえのグリップの効きづらさ。その上コース幅が狭いにもかかわらず、平均スピードが高くなる、等々。
と言ったカンジに、車、ドライバー共にこれでもかと苛め抜く超・ドSコースである一方、とても多くの状況が揃っているが故、レースイベントが年に一度開催され、車両開発におけるテストとしても利用されるのである。
「――おいおい、マジで来ちまったじゃねーかよ、おい」
「どうだ? 妾と戦うのに、ふさわしい舞台だろう」
ちなみに、こんなドイツまで来たのは、冀羅が昨日の夜に勝負を挑んだ次の日である。いくらなんでも、手際よすぎである
「――と言うか、ここってどこぞかに管理されてる場所だろ!? 確か一般開放はされてっけど、チケット制で、一部以外は速度制限ねぇけど、ドイツの道路法が適用されてて……つまり、普通は競争何てとてもじゃないができるわけが、」
「妾を誰だと思っている? 狂鬼姫と呼ばれた鬼神だぞ?」
「な、なんでもありかよ――要するに貸し切りって言いてぇのか!?」
「無論だ」
腕組みをし、ドヤっと自慢げに荒い鼻息を一つ。けど、一つ言わせてほしい。
「呉葉、呉葉」
「む? どうした夜貴?」
「あんまり無茶苦茶すると、いくら僕でも擁護しきれないよ?」
「さぁ! 我らの決戦の準備と行こうではないか!」
――まあ、皆さんお察しの通り。
敢えては言わないけど――かなり、無茶苦茶な方法で借りましたよ、ええ。




