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《第623話》『ご近所さんごめんなさい!』
「やいババア! リターンマッチだ!」
夜。と言うか真夜中。突然連打されたインターホンに目を覚ますと、外で大男が大騒ぎしていた。
僕と呉葉は、眠い目をこすりながら、窓から顔を出す。
黄金の炎のような金髪、時代遅れな黒い論パンクスーツ。赤い瞳がギラギラと光る、チェーンアクセサリーが特徴の長身の男。
そんな、一見ちょっと昔のヤンキーみたいな男が、両手を振り上げて叫んでいる。
「冀羅、か――」
「嫌とは言わせねぇぞ、俺をあれだけベコベコにした落とし前、付けさせてもらうんだからな! まだまだこっちはスクラップになっちゃいねぇぞコノヤロー!」
「おい、こンの馬鹿者が――」
「さあ降りてこい! 今こそ、てめぇの時代が終わったと言うことを分からせて――、」
「近所迷惑だろうがボケがァあああああああああああああああッッ!!」
「ぎょえぇええええええええええええええええええええーーっっ!!?」
呉葉が、怒号と共に特大の鬼火を放つ。深夜の道のど真ん中、赤々天まで立ち上る火柱。
――今の怒鳴り声も含め、君が一番近所迷惑なのでは……。




