表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十八章
622/1022

《第621話》『高級品だからと言って送られると困るやつ』

「かつての部下から、こんなモノが送られて来たぞ」

「――ナニコレ?」


 呉葉の手には、何やら木切れのようなモノが握られていた。彼女はそれを、妙にご機嫌な顔で握っている。

 おまけに、黴のようなものまで。また、何やら妙な事でも始めようと言うのだろうか。


「何をそんな、妙なモノを見る目でみておる? 鰹節だぞ、これは」

「えっ、鰹節!?」


 鰹節と言えば、あのひらひらした何かである。出汁につかったり、あるいは、お好み焼きやホウレンソウなどに振りかけたりする、鰹由来の食べ物だ。


「まさか、鰹節がどんなモノか知らんかったのか? これを削って、いつものひらひらになるのだ」

「――でもこれ、黴生えてない?」

「これは敢えて初めから生やしているのだ。黴を生やすことで、保存性をさらに上げているのだな。乾いたペーパータオルなんかで、使う部分を拭って削るのだ。これが、本来の鰹節だ。パックに入って売られているのは、本来削り節と呼ばれるモノだな」


 流石にあのひらひらが海の中を泳いでいるとまでは思っていないが、鰹節の本来の姿が、こんな形をしているとは知らなかった。


「へぇ――鰹節って、パックに入ったのしか見たことなかったから、本当はそう言うモノなんだね。それにしても、よく知ってるね呉葉」

「割と常識と思っていたのだが――まあ、時には、長い年月からくる知識深さを披露しておかねばな。いつもいつも、ぽんこつでは締まらんだろう?」


 俗に言う、ドヤ顔で鰹節をぷらぷら。


「で、どうやって削るの?」

「え? あ、専用のかんなを使うぞ」

「扱いも木みたいな――でも、うちに専用どころか、鉋なんてあった、っけ……?」

「…………」

「その沈黙、もしかしてと思うけど――」


「ない! あるわけがないっ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ