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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第三章
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《第六十一話》『発想の転換。家内混乱』

「しかし、未来の妾よ。こうも考えることはできぬか?」


 幻影の呉葉が、人差し指を立てて妙に真剣な顔をする。――彼女にとっても、「パワーバランス」の話は重要であるらしい。


「未来の妾は、鬼神『狂鬼姫』の立場をほぼ捨て去っていると言ってよいのだろう?」

「うむ、まあ――ほぼ、そうだな。……なるほど、貴様はそう言いたいのか」

「え、何? どういうこと?」

「何のことはない。既に抜けている場所に返り咲くのだから、むしろパワーバランスが戻るのではないか、ということを過去の妾は言っているのだ」


 なるほど。確かに、それならば何の問題は無いのかもしれない。

 ――あれ? だけどこの前、


「『世の平定』が使命だと勝手に自分で決めていた、って――前に言って無かったっけ?」

「それはそれ、これはこれだ。存在自体が重要である場合もある。こう言う生活をしていても、かつてのしもべ達とつながりが無くなったわけではないからな。要は、気負うか同化の問題なのだ」

「今現在の妾がどんな思慮の元にヒトの子と暮らしているのか、妾には今だ理解できぬ故に、もっと誇りを持って何もしないでいてほしかったところだがな」

「ううん、なんだか難しいんだね――」


 しっかりと中身まで理解するには、まだちょっと早いみたいだ。自分が周囲に影響をもたらす存在であるわけではないために。


「――だがまて、それならそれで、いつ消えるか分かったモノではないのだから、やはり問題は起こるのではないか? それに、状況こそどうあれ、『狂鬼姫』が二人いることには変わりないから、力が大きく偏って……」

「だから、言っているだろう?」

「えっ――」


 そう言って、過去の呉葉は僕の肩を抱きよせた。


「妾がこの男と子を成し、それに跡を継がせればいい。そして『狂鬼姫』は最低限を除き、他者とのつながりを断つのだ」

「…………」

「…………」

「だろう?」


「――っ、『だろう?』ではないだろう、冗談ではないぞ貴様ァ!?」


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