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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十八章
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《第616話》『1カメ、2カメ、3カメ』

「穏やかな日々。そして平和な世の中――実に。実に、つまらぬと思わんか? のう、諸君」


 招集をかけた、この余、九尾の狐、その配下たち。全盛期よりは規模が小さくなってはいるものの、実力はまだまだ高い奴らが残っている。

 どういうわけかこやつらは、先日の騒ぎを忘れているようだが、余はあの時の屈辱を、決して忘れるつもりは無い。そう、ただの徒党を組んだ人間共に負けた、あの瞬間をだ。

 よって、今日は彼奴らに知らしめてやるつもりだ。貴様らは、我々がただ見逃してやっているから、地上で息をしていられるのだ、と。


「真なる支配者は、この九尾の狐、藤原 鳴狐である! それを知らぬ愚か者どもをこの剣の錆びとし、己らの無知を、今こそ理解させて――、」


「なんだ駄狐。また何かやっているのか?」


「じゃじゃっ!?」


 びっくりした。それはもう、心臓が口から三里は出るかと思うくらいびっくりした。

 な、なぜ、なぜ――、


「なぜ貴様がここにおるのじゃ狂鬼姫ッ!?」


 どうせアイツは邪魔をしに来るだろう。そう思い、結界を幾重にも張った上で、今日の会合は行っている。突然の宿敵の侵入に、ざわめく部下達。


「なぜ? そんなモノ、どうでもよかろう?」

「よかァないわァ! 何をしに来たんじゃ貴様ァ!」

「何って――お土産を渡しに来たのだが?」

「どうせ碌でもな――何?」

「そら、受け取れ。シュークリームだ」

「あ、何? しゅぅくりぃ、」


 突然、何かを狂鬼姫が投げた。間髪入れず、余の視界が檸檬色に染まった。


「ほぶぼっ!?」

「そぉれもう一発!」

「はばべっ!」

「まだまだあるぞぉ?」

「ばばっべ、ば、ぼぼぼばっ、ば」


 ※食べ物で遊ぶのはやめましょう。


「はっはっは! どうだ、甘かろう! ではな、駄狐!」

「お、おん、の、れぇ――っ」


 目元のどろどろを退ける。いつの間にか、狂鬼姫の姿は消えていた。


「な、何をしにきたの、じゃ、あやつ、」

「あいつめ、どこへ逃げおおせたァッ!」


 と思ったら、間髪入れず、隠れ家の入り口からまたもや狂鬼姫が現れた!


「き、貴様、よくも舞い戻ってこれたものじゃ、のう――!」

「むわっ!? なんだこのクリームオバケ!? ――って、なんだ、貴様か」

「な、なんだ、じゃとぅ――?」

「貴様のことなどどうでもいい! 折角おやつに買ってきたシュークリーム持ち去りおって、あのパチモンめ――っ」

「――者共、」

「んあ?」


「者共であえぇいっっ!!」

「な、何だ何だ突然!?」


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