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《第603話》『ひまつぶし』
「ふむ――」
食べかけだったポテトチップス(コンソメパンチ)、それを食べ終え、袋と輪ゴムが残る。
いつも、口を開けたらすぐに食べ終えてしまうのだが、その日は直後急用が出来たため、こうした次第。しかしそれも、残念ながら無くなってしまった。
「輪ゴム、か」
びよ~ん。
「ふむむ、」
びよ~ん、びよよ~ん。
「小指にひっかけて、親指の付け根に回し――そしてもう一端を人差し指に……、」
ぴゅんっ、
「ふむ」
輪ゴムを拾い、もう一度射撃準備。
目の前には、妾のマグカップ。先ほどまでコーラが入っていたそれ。
「…………」
ぴゅんっ、
「――!」
当たったのが、ちょっとうれしい。
今度は、もう少し距離を離して発射。
「おお、妾も意外と――」
そう思い、もうさらに距離を離して一発。
「あっ」
何と、外してしまった。
むむ――今度は少し悔しいぞ。
そうして、輪ゴムを飛ばしては拾い、拾っては飛ばすを繰り返し――、
「ぬおっ、マジか」
気がつけば、40分程時が過ぎていた。
こんなことで時間が経っていたことに、嬉しいやら悲しいやら、何とも微妙な気分になった。




