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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十八章
602/1022

《第601話》『今年のGWは――、』

「夜貴! GWは、どこへ遊びに行こうか!」

「えっ」

「え」


 何やらたくさんのトラベル雑誌を抱えた呉葉が、僕の聞き返す声に固まる。


「い、いや、折角連休に入るだろうからと、旅行の計画をだな――」

「え、えっと、いや、そう言うことを言いたいんだろうなってことは分かってたけど、」

「ど?」

「――言いにくいけど、まとまった休みはない、よ……?」

「( ゜Д゜)」


 バサバサバサっと、呉葉の手から滑り落ちる、雑誌群。


「と言うか、去年だってそうだったと思うんだけど――」

「去年は――ぐ、そう言えば、5/3はそんなこと言っていたな……っ」

「そう簡単に穴を開けるわけにはいかないからね――去年も言ったけど。結構、ウチの機関も人手不足気味だし」


 去年も、同じ説明の元に呉葉のガッカリした顔を見た気がする。それなりに気持ちが分かるため、ちょっと申し訳ない気分だ。


「――そうだな、連休を作れる手が、無いわけでもない」

「え、ええ――? また皆に無茶なこと言う気じゃ……、」

「何、ちょっと辺り一帯にいる懸念事項全てをぶちのめしてくるだけだ」

「別方向の無茶!? 駄目だよ! そんな不確かで横暴はよくないって!」

「ええい、紛らわしいヤツが悪いのだ! 紛らわしいヤツがいるから、夜貴が休めんのだぁっ!」

「それだけが駄目な理由ってわけじゃないんだってば!」


 僕も呉葉をどこかに連れて行ってあげたい、と思う。でも、ただでさえ何度か私用で休みをもらってるんだし、それが気を使われて頂いている以上、やはり安易に申請はしにくい。


「はぁ――致し方なし、か」

「ごめんね、こんな亭主で――」

「――よい、よいのだ。ただ、ちょっと我儘言ってみたかっただけだ。あまり、そう言う機会も最近なかったことだしな」

「呉葉――」


 ドタバタが連続していたため、確かに、呉葉が我儘を言ってくると言う状況は、最近あまりなかったように思う。

 以前は割と頻繁だった気もするが、今となっては懐かしくある思い出だ。


「――さて、」


 トラベル雑誌を拾いながら、呉葉はふっと息を吐く。


「ここら一体の悪そうなヤツを根絶やしにしてくるか」

「だから駄目だよ!?」


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