《第597話》『大地の墜つる時』
「――と言うか、ボロボロじゃないか呉葉!?」
「うむ、腕の骨も折れてる! 正直めっちゃ痛いぞ!」
「抱き着いてる場合じゃないよねぇ!」
あちこち傷だらけな呉葉の姿は、しかし本人の謎の元気さもあるせいか、あまり痛々しくは見えなかった。しかし、傷だらけなのであまり大丈夫なわけでなく。
――とりあえず、指さしている腕には触らないでおいてあげよう。
「しかし、その様子だと敵のボスを打ち倒したようだな? 妾は下っ端にてこずっていたと言うのに、流石だ夜貴。お前ら」
「倒した、と言うか、説得した、が近いけどな。死んだことに気がつかない、亡霊みたいなヤツだった」
「まあ、何にせよ決着はついたことにはなる。これで、ロボットたちの侵攻が止まっていればいいんだけどねぇ」
「少なくとも、今よりBadになることはありまセーン」
「――誰だこの左目に千〇眼をはめた男のような喋りの外国人は?」
「あ、そう言えば呉葉はトムさんと会うの初めてだよね」
「何? トムの勝ちデース? だと?」
彼女が何を言っているのかは分からないがそれはさておき。いつまでもここにいても仕方ないので、一先ずこの場を後にしようと僕は提案を考えた。地上の様子を見てから、今後のことは考えよう。
「――アレ?」
と、トムさんが。素っ頓狂な声をあげた?
「Earth、こんなにClose、近い場所にありましたカー?」
「えっ」
トムさんは、穴から下を見下ろしていた。僕もそれに倣い、下を確認する。
――地上が、明らかに近くなっていた。




