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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十七章
588/1022

《第587話》『穴の開いた大地』

「っ、何、これ――?」


 戻ろうとして幾らか進むと、突然抉れた――いや、大穴が空いた場所にたどり着いた。

 上から下まで、高層ビルの高さ以上の層。それを、対岸は上から下まで確認できるほどの直径で、眼下には雲と海と陸地が広がっている。


「一応、ここは俺達が辿って来た廊下だとか、部屋があったはずなんだが――」

「Oh、トンデモBigなholeがぽっかりデース――……」


 すさまじい衝撃は、これの発生が原因であると推測できる。むしろ、これほどの大きさなら、少ないとも言えてしまえるかもしれない。


「呉葉、は――?」


 僕は思い至る。この先のエリア、その上にあるまるで陸地のようなところでは、呉葉とディア先輩、そして冀羅が戦っていた筈だ。

 しかし、今ここには何もない。何らかの事態があって、全て吹き飛んでしまった。


「呉葉は、呉葉は一体どうなったんですか!? この惨状、何が起こって――」

「お、俺に聞かれて、も――」


 僕はどこかに大切なヒトの姿が無いかと探してみる。――が、あの白く美しく、しかし小さな童女のような鬼はどこにも見当たらなかった。


「っ、アレをWatchしてくだサーイ!」


 呉葉!? 僕はトムさんの声に反応し、彼が指さしている対岸を見た。

 ――違った。ただ、一つの部屋の断面があるだけだった。


「なんだ、何があるんだ――?」

「よく見てください、アレ! アレです!」


 狼山先輩は、ひたすら彼が指をさす方向に目を凝らした。


「Human! Humanデース!」

「おいおい、マジかよ。生きてる人間っぽいぜ、ありゃ」


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