《第280話》『戦犯』
妾達三人は、何らかの危機感を覚え、同時にその場から跳ぶ。
すると、冀羅は新しく生まれた頭の瞳から、薙ぎ払うようにレーザーが放たれた。それは妾達が立っていた場所を撫でると、瞬間的に熱膨張を起こした地面が噴火する。
『そモそも、俺のせいナんだよォッ!』
首回りの羽が地面に対して羽ばたくと、その風圧で大地が隆起。発生したクレーターの端が、巨大な津波のように襲い掛かってくる。
「何がだ、どうした――ッ!」
『俺が、ヤツの誘いニ乗ッたかラ、乗っタから――ッ!』
土砂から全員の身を空間転移で逃れ、クレーター上に降り立った妾は、滞空するそいつに問いかける。しかしすぐに答えるようなことはなく、変身するまで足だったモノも含め、合計八本の腕には炎の弾が生まれだす。
冀羅は――それを一斉に投げつけてくる。
「そんなモノ――ッ!」
「ヤバそうだね――!」
駄狐が、同じ数の炎の弾を放つ。一発一発が、強烈な破壊力を持つモノで、腐っても大妖怪であることを思わせる力がある。
加えて、ディアがランチャーを取り出し連続して射撃する。退魔の力がこもった、グレネードランチャーだった、か。
――が、
「ウッソじゃろう!?」
「うっわ、マジかよぉ――」
そんな駄狐の火球を、冀羅の火球が容易く弾く。ディアの放った榴弾も、まるで効果がない。威力は、ほとんど衰えていない。
「ちっ!」
仕方がないので、全員をまた空間転移で逃がす。割合消耗するので、そう何度も使いたくはないのだが――っ!
「乗ったから、何だと言うのだ――!」
距離を取った場所に全員を降ろす。すると、冀羅は腕を振り上げ飛翔。突撃してくる。
『俺達の力ガ解析さレた――ッ!』




