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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十七章
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《第569話》『止まり、振り返る時はとうに終わっている』

「なァ鬼ババァ、知ってるか? 地上を徘徊するロボット共の力は、全て空間転移でこの場所から届けられてるってな」

「知っているとも。我が陣営の、生意気ながらとんでもなく優秀な科学者が解き明かしてくれたからな」

「っ、し、知ってやがった――!? ……まあいい。けどな、その空間を越える力、元々ラ・ムーは技術として持ってなかったんだよ」


 冀羅は、さも自分のことのように得意げに語っていた。あれだけボコボコにされていた割には、傷と言う形でダメージが現れていないこともあり、元気だ。


「じゃあその力はどこから来たか? お前、あの時落ちてくるくすねてきたミサイルを、空間に穴空けて対応しようとしたよな? アレだよ、アレ!」

「ほう――」

「ラ・ムーはそれを見て、解析、ご自慢の科学力で解明した。つまりだ、お前があの時その力を使わなければ――、」


 妾は、空間の穴を通して。得意げにしている顔面に鬼火球をぶつけてやった。


「ここまで、皆が追い込まれることは無かった、と?」

「お、ぐ、て、てん、めぇ――ッ」

「気が付いていたとも」

「っ、何ィ――?」

「と言っても、つい昨日妾もそうなのではないかと思い至ったばかりだがな」

「呉葉ちん――」


 妾は、「今は」自由に使える空間への干渉を掌で起こしながら、ふっと息を吐く。


「単純な話だ。ロボット共の仕組みに気が付いたうちの天才科学者が、ジャマーを開発した。その力は、周囲に展開される空間干渉を妨害すると言うものでな。妾のも当然引っかかり、使うことができなかった」


 勿論、妾は気合でこの技法を編み出したので細かい仕組みは知らない。だが、イヴが言うには、同じ空間への干渉にしても、様々なアプローチがあるのだと言う。

イヴの開発したジャマーは、その中の一つを妨害するものでしかないらしく、妾にはワケが分からんが、ともかく周囲の同系列の方法が封じられた。

 そして、奴らが使っている空間転移の技法は、妾のモノとよく似ていた。加えて、お喋りですこぶる調子に乗っているらしきこいつが豪語した。

 あの空間転移技術は、妾のモノを参考にしたと言いきるには、充分だ。


「妾としても、そのように考えれば流石に引け目は感じる」

「ぐ――」

「だが――後悔に苛まれ、後ろを振り返ってばかりでは何事も立ち行かぬ。所詮失態は過去。恐れて歩みを止めるなど愚の骨頂。巻き起こった闇を、払い飛ばす気迫で前に進む」


 今や、妾の力はほぼ完全に復活した。


「なぜならば、生きると言う事は否が応でもそうせざるを得ないからだ」


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