表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十七章
567/1022

《第566話》『決戦の地』

「ぐ、く、フン――ここは本気を出すには少々手狭なだけだ……っ」

「口が減らねぇな。年寄りは年寄りらしく、おとなしく隠居してりゃいいんだ」

「当初、妾はそのつもりだったのだがな」

「その割には随分目立ってたじゃねぇか。しかも、今もその真っ最中と来た」

「非常事態に、隠居だのなんだの、言ってられるわけが無かろう。同胞がピンチに陥ってなお、自宅で寝そべって煎餅齧ってられる程、剛胆な神経はしておらん身でな」

「ちっ――ああいえばこう言う……ッ」

「日本語を一から学んでくるのだな。屁理屈でも何でもなく、正論を言ったうえで、正しいと思ったことを成しているつもりだ。お前と違ってな」

「あン――?」

「大方、大口叩いたにもかかわらず妾に敗れ、言葉でも勝ち目無しと踏んで、ラ・ムーに媚びを売ったとか、そう言ったところだろう?」


 こいつの、どうにも意固地と言うか、負けん気の曲がり方は、妾にはそう見えた。

 これが、若さと言うものなのだろうか? いつまでも若い気持ちを保ってきたつもりだが、流石に尻は青くない。


「ハッ――そう言うのは、俺様に勝ってから言うんだな?」


 冀羅はジャケットのポケットから、掌に収まる程度の球状の物体を取り出した。そしてそれを、指で何度か撫でつける。


「っ、うわ!?」


 悲鳴。誰か一人のモノではない。その場にいる者の大半が、何らかの驚愕の声をあげた。

 それもその筈だろう。突然床が、空港の動く歩道のように、そしてそれを越える速度で動き始めたのだから。

 おそらく、取り出したのはこの場所のコントローラーなのだろう。何人かは転倒。それにも構わず、足もとは滑るように動く。そして――、


 気が付けば、妾達は暴風吹き荒れる空の下、荒野の上に立っていた。


「これでもう、言い訳できねぇだろ。決着をつけてやるぜ、この浮遊大陸ムーのど真ん中でなァ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ