《第556話》『世紀末』
「おい、そこのアンタ。ちょっとこっちへきちゃくれねぇか?」
「アン? 何だよアンタ――? 随分とハードボイルドな姿してやがんな?」
「ちょっと今、頼まれごとをしててな。それを手伝ってほしいんだ」
「はぁ? 何でそんなモンに、俺が手を貸さなきゃならねェんだよ」
「――だろうな、普通はそう言うモンだ」
「なんの話だ?」
「何、そう言うと思って、もう一つ面白い話を聞かせてやろうと思ってな」
「面白い話?」
「今、俺はラ・ムーの幹部だとか言うヤツから、仕事を任されているんだが――、」
「――?」
「実は、結構な額の報酬が用意されてるんだ」
「マジでかよ!?」
「ああ、本当だ」
「なんだよ最初からそうならそうと言えよ!」
「…………」
「…………」
「お前の時代遅れのモヒカンを維持する金だって、しばらくは付きねぇだろうよ」
「あ? なんだとてめ――ぐえっ!?」
「…………」
「お、おま、え――っ、…………」
「――よし、気絶したな。あからさまな悪役面してると、鳩尾にボディブローすることに大して抵抗ねぇからいいぜ。よし呉葉、空間移動、頼んだぜ」
「……――うむ、ご苦労だったな狼山」
「しかし、こんなヤツにまで、例の指輪が配られてるとはな」
「ある意味、究極的に平等な国家だ、と言う事は分かったがな」
「――で、やるのか?」
「ああ、やるとも。やはり、のんびり事を構えているワケにもいかんからな」




