表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十七章
552/1022

《第551話》『攻防ともに優れた歩兵』

「お前ら、散開してヤツの周りを囲め!」

「は、はい!」


 幸い、ロボットは一機のみだった。俺達はヤツを翻弄すべく、三方向から同時に仕掛けることにする。


「こっちだ!」


 俺は自分の拳銃を取り出し、ロボットの頭へと弾丸を放つ。ほぼ正面から見ると、まるで蜘蛛の頭のようにも見えなくもない。

 頭部で弾ける火花。しかし、所詮俺が使っているのはただのピストル。金属の塊にはただの豆鉄砲のようで、ビクともしない。


 ロボットが、こちらの銃口を無視して完全に遊に狙いをつけた。


「ちっ――!」


 俺は遊の小さな身体に、突進も同然の勢いで衝突する。その直後を、ロボットの銃撃が通り抜ける。

 発射されたのは、恐らく実体の存在しないビーム系の攻撃だろう。遊の後ろにあった一本の木に大穴が焼け空いて、音をたててへし折れる。


「この――ッ」

「こっちを、見なさい――ッ!」


 他二人もまた、俺と同じく拳銃を何発も撃ち込んでいた。足や胴体、頭、様々なところで砕けた弾丸が赤い花を咲かせる――が、やはり大してダメージは与えられていないようだ。

 そればかりか、完全にそれらを無視して遊へと攻撃を行ってくるロボット。軽い身体を小脇に抱えて、木を影に、走る速度を強弱付けて一定にしないよう走る。

 市街地へと出るために、大きな武器を持ってきていなかったため、武器での撃退は難しいだろう。あのビームライフルは異能持ちや妖怪特攻らしきモノがあるようだが、そもそも、生身の人間が喰らっても致命傷では済まない。


「っ、俊也――?」

「ようやくお目覚めか馬鹿遊!」

「っ、馬鹿、って――……ッ」

「話は後だ、逃げるぞ! ――どォわ!?」


 仲間の援護射撃などどこ吹く風。多脚をうごめかせ、図体の割に乗用車並みの速さでロボットは追いかけてくる。障害物となる岩や木を、ビームで壊し、溶かしながら。おまけにこちらに照準まで合わせて。


 相変わらず、特殊能力しか眼中にないようだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ