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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十七章
545/1022

《第544話》『普通の人間、と言う事』

「ふっ、やっぱり思った通りだったぜ」


 ニヤリと笑った直後に偵察に行った狼山先輩本人が、戻ってくる。その顔は、またもや不敵な笑みを浮かべていた。


「戻って来たか――その様子だと、本当に一切戦闘の類は無かったようだな」

「一体、どういう――?」


 僕らは先日この洞窟へと逃げる際も、何度となく表の人間やロボットに追われていた。

 特にロボットの方は、どこにいても僕らをすぐに探知してしまい、僕らの精神までもを疲弊させる要因として機能していたほどだ。それだけ、索敵能力が高く、偵察に行くにしても一苦労なハズだ。

 幸い、ロボットは居住区格周辺の警備だけにとどまっているが――何にせよ、まともに出歩くのは難しい。こうやって隠れているのさえ、一所に止まるのさえ難しいのだ。


「早い話が、あのロボットたちは長銃と同じ技術が使われてるんだ」

「それは身に染みて妾も知っている。最弱状態まで疲弊していた最中とはいえ、妾の鬼火を弾くとは思ってもみなかった」

「だが、弾けるのは異能などの特殊な力だけだ。俺の銃は普通にバリアをすり抜けた。――もっとも、金属の塊に鉛弾を撃ち込んだところで、と言うカンジだったがな」


 そして、と、狼山先輩は続ける。


「俺はロボット共に探知されることは無かった。この意味が分かるか?」

「つまり――能力を所持している者を、犬のようにニオイを嗅ぎつけて見つけている、と?」

「ご名答だ。ちょっと忙しい事態になるが、俺を含めた『普通の人間』で道を開き、その後にお前たちが続く。そして移動装置を乗っ取り、奴らの本拠地へと攻め込む。作戦としてはこんなところだろう」

「むぅ――」

「どうした? 何か作戦に穴――まあ、もとよりひねり出した案だから、それも仕方ねぇが」

「いや、そのようなことではない」

「うん――?」

「『普通の人間』とは、何なのだろうな、と」

「俺! 俺! 俺は人間! ただの人間だ!」

「それは翻弄された冀羅が気の毒だろう。お前の戦いを先日初めて見たが、あんな先読みだけで戦いを互角以上に成立させる者、他に知らんぞ」

「頑張れば誰だってできるだろ!」

「あの、狼山先輩――普通の人間は出来ないと思うんですけど……」


 ともかく、これで道を作る目処が立った。ここから、反撃開始となればいいんだけど。


 ――何にせよ、僕の周りに「普通の人間」っていないなァ。


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