表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二章
54/1022

《第五十三話》『新たなる力』

「貴様は言ったな。妾はひよった、と。確かに、その通りかもしれぬ。鬼の力とは、すなわち怨恨の力であるのだから」


 それが、愛によって浄化される。――愛による浄化。なんと心地よい響きだろうか。


「だが、愛がある限り。夜貴を想う、この心がある限り。妾は負けぬ。決して倒れぬのだ。どれだけ傷つけられようが、圧倒されようが」


 ある意味、その誰かを想う気持ちと言うのは、どんな心よりも重く座り続けるモノだと、妾は思う。しかし、それはのしかかる負担を感じさせるモノではない。


「だから――貴様が妾の体を切り裂こうが、骨を砕こうが、焼こうが。例え命を奪おうが……ッ! 我が魂は永遠に夜貴に手出しさせぬと思え!」


 今感じる体の傷の痛みは、そんな一つの心を守るためにできた、ある意味誇らしいモノだ。過去との決別――などと言うクサいことを言うつもりはないが、もはや己を縛っていた鎖などへでもない。


「――っ、そうか……」

「そう、なのだ」

「ならば――……ッッ」


 過去の姿は、それこそ全力で拳を振りかざしてきた。


「……――ッッ!!」


 妾はそれを、小細工無しで真正面から拳をぶつける。


「ッッッ!!!」

「ぐ、ぐぐ――ぐッ!」


 最初に拳をつき合わせた時の何倍も上回る力のぶつかり合い。逃げ場を失った力は、とてつもない力の波動となり拡散する。


「――っ、……ッッ!!」

「っ! ……――ッッ!!」


 妖力を更に込め、さらなる破壊力が向こうから放たれる。それはさも、全盛期での戦いを妾自身に思い起こさせたが、やはり妾にとっては「その程度」に過ぎない。


 ――やがて、


 ぶつかり合う力は、終息する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ