《第525話》『脅威に見え隠れする意思』
ボッ、ボォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!
超・巨大フクロウが鳴く。鼓膜を破壊してしまいそうな、音響破壊兵器も同然のそれに、僕らはそろって耳をふさいだ。
「う、くっ――! 怪獣相手なら、自衛隊と相場が決まってんじゃないのかい!?」
「現実の自衛隊、は、フットワーク軽くねぇからな――! ついでに言えば、むしろ空のアレは、俺らが対応すべきヤツだろ……っ!」
「せ、戦闘機! 戦闘機持ってきてくださぁい――っ!」
上空で羽ばたくフクロウは、僕らが見上げた位置で制止する。地上に、曇り空の時よりもさらに濃い影が差した。
巨鳥と、目があった。
「――マジかよ」
ディア先輩がそう呟くのと同時に、フクロウがカギヅメを突き出し急降下してくる。勿論、狙うは僕ら。大きかった巨体が、迫ることによりさらにその大きさを誇張してくる。
さっきの男と言い、このフクロウといい。なぜ、これほどにまでこの場を狙ってくるのか――、
「アタシらでこんなバケモン何とかしなきゃならないって、正気の沙汰じゃないね――っ!」
そんな僕の疑問に答える者はおらず。ディア先輩は人間離れした跳躍でフクロウへと向かっていった。
このフクロウもまた、襲撃の手段の一つなのかもしれないけど――、
あまりにピンポイントなそれは、流石に引っかかりを覚えざるを得なかった。




