《第524話》『超巨大怪獣、来襲』
「おいおい、何だいありゃァ――?」
ディア先輩の声に、僕と呉葉は同じ方向を見た。冀羅が去って、10分も経たっていないと言うのに、またもやミサイルのような何かが飛んでくると言うのだろうか?
「おいおい、これで、は、東〇映画の宇宙人による侵略で、はない、か」
「知らない間に、映画の世界にでも入ったんじゃねぇのか――?」
「現実」
僕らが、荒らされた事務所から見ている光景。いつもの窓から見える、ビルの並ぶ景色。
そこに配置された建物に、さしたる変化はない。いつも通り、灰色の建造物が決して高くはない僕らのいる建物を見下ろしている。
だが、一つ。そこにはいつもとは異なる、それ以上の大きな「異物」が居た。
それは、まるで雲か飛行船のように、悠々と空を舞っている。
それは、羽ばたくたびに銀色の羽根を撒き散らかしている。
それは、巨大でまん丸な相貌を獰猛に光らせている。
「本当に、これは一体――!?」
カギヅメは一対で高層ビルをわしづかみにできそうなほど。
翼が振り下ろされるたびに、建造物は木の葉のように舞い散る。
一声鳴くだけで、大地が大地震が起こりでもしたかのように震える。
巨大なフクロウの姿をした、まさしく「怪鳥」、「怪獣」とも言うべきそれが、猛禽類そのモノの殺気を漲らせ、こちらに迫ってきていた。




