《第523話》『決してマグロ食ってるヤツではない』
アメリカ合衆国 ワシントンD.C 現地時間18:06
「Oh、いつの間にToilet PaperをUse Up、使いきっていたのでしょうか」
トム・トーマス・トールマンは用を足してから、そこに在るべきものがないことに気がついてしまった。
所属組織の建物と言うこともあり、掃除は行き届いているのだが。どうにもこう言う必需品の補充に関しては、トイレ掃除係はしょっちゅう忘れる傾向にあった。トムは、お食事中の人にはあまり聞かせられない現状に、どうすべきか頭を悩ませる。
そんな時だった。ズンと、足もと――否、建物が細かく揺れたのは。
「What――?」
トムは、思わず自分の今の有様を頭から除外する。それ程にまで、今の揺れは奇妙極まりなく恐ろし気。まるで、ジュラシック・パークのよう。コップの水に波紋ができた時のような、そんな振動。
「…………」
また一つ揺れる。そしてもう一つ。さらに一つ。揺れは規則的に。ゆっくりだが、とてつもなく重い何かが、地面にスタンプを押しているかのような。
突然、トムの頭上に高出力のエネルギーが走った。
「What happen!?」
その一撃は、ビルを真っ二つに割った。高圧の力は、まるでビームを思わせる、強烈なエネルギーの流れ。
ガラガラと崩れ去るトイレの壁。破裂した水道管が作り出す噴水の向こう。トムは、遂にそれを見てしまった。
「Oh my god――……」




