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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二章
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《第五十一話》『鬼神の眼力』

「大丈夫ですか、穹島先生!」


 幻術呉葉と現実呉葉が睨みあっている間、家屋の残骸から僕と藍妃は穹島先生を助け出す。彼は、青い顔をしてぐったりとしていた。


「う、うごご――吐きそう……」

「い、命には別条なさそう、か、な――?」

「手加減したんだね――」


 本気であの呉葉に殴られれば、どてっぱらに穴が開くだけでは済まないだろう。二人の拳がぶつかっただけで周囲に被害があったことからも、それは明らかである。


「わ、儂が、手に入れた情報では――樹那佐が、あの鬼神に辛くも勝利した、と……」

「――勝てるわけ、無いじゃないですか。彼女は僕が、僕達が知る限り《最強の妖怪》なんですよ?」


僕が呉葉へと差し向けられたのは、組織の宣戦布告の意味合いが強いというのが彼女の読みだ。

鬼神『狂鬼姫』は、自ら何かをすることはない。それはきっと、組織もわかっていた。

そして彼女はとても影響力の強い鬼であり、そのまま戦力を総動員して攻め入れば、大規模な戦争になってしまう。だからこそ、人の世に害をなせば名文が作れると踏んだのだろう、と呉葉は読んだのだ。対した力を持たない「僕」を「ただの一般人」が迷い込んだとして殺させれば、それは小さくとも理由になる。


「い、いろいろ言いたいことはあるけどさ、夜貴が意識を落とせば――あの鬼神は消えるんじゃないの……?」

「多分、無理じゃないかな――。きっと、こっちを見ていないようでずっと僕らを見てる。それに及ぼうとすれば、一瞬のうちに止められる」

「で、でも、今は本物の鬼神が相手をしてるじゃない――!? それに、穹島先生のところに来ることもできて……」

「動けたのは、その行動が『狂鬼姫』にとって取るに足らないものだからだよ。僕にはよくわかる。それが可能な程、過去の呉葉は強力な鬼なんだ。それに――」

「――?」

「信じたくはないけど、今も昔も呉葉の目は確かだ。そんな昔の呉葉が、今の呉葉は勝てないと言った――多分、時間稼ぎは出来ても、きっと、その通りなのかもしれない」


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