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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十七章
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《第514話》『魔改造』

「っ、何モンだてめぇッ!?」


 俺は振り返りつつ前に飛ぶ。全く気配を感じなかった。


「アヤシイ者ではありマセン。落ち着いてクダサイ」

「気配消して後ろに立つアヤシクないヤツがいるかよ――ッ!」

「ア、それはワタシの趣味なのでお気にナサラズ」


 そこに立っていたのは、頭から足元まで、顔すらも真っ黒なローブに身を包んだヤツだった。高めの声からするに、女だとは思うが――身長は俺より高い。

 そしてその長身のせいか、はたまた別の何かによるモノなのか、迫ってくる壁のような圧迫感。それにもかかわらず、ここまで気配を察せなかったとは――、


「アナタ、何かお悩みがあるヨウデ」

「っ、何だよ、あんた。あんたに、俺の何が分かるって言うんだよ?」

「ワカリマスとも。アナタのその浮かない表情を見れば、一目瞭然」


 そいつは、ゆっくりと地面を滑るようにこちらに寄ってくる。


「それはずばり、己の力の至らなさデショウ? あらゆる力、あらゆる面で足りず、それが故に相手を納得させることすらままならナイ」

「だから何だって言うんだ! あんたには関係無いだろうが!」


 苛立ち以上に。何かそら恐ろしいモノの気配を感じて、俺は蹴りを繰り出す。

 ――しかし、命中したはずのそれは空を切った。当たる感触すらない。アフターファイアも発生しない。


「ワタシなら、アナタの助けになれます。力を、与えてあげられマス」


 そればかりか、名前すら名乗らぬそいつは、一瞬にして俺との距離を詰めてくる。まるで、最初からそこにいたかのように。


「アナタの全てを強化し、アナタの全てを無敵、無敗にする。アナタの思う強大な相手すらも、たった一撃で納得させる」

「お、俺は――っ」

「ホシクは、ありマセンカ?」

「俺は――っ、…………」


 目元だけが開いたローブ。しかし、そこから覗くは、深淵に浮かんだ光。


 その瞳は、俺の心を揺さぶる。まるで打ち震える不満、その震動を増幅させるかのように。


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