《第510話》『纏まりのない多国籍軍』
「――それで、そのアメリカからのトムがアタシ達に何の用だい」
「それは勿論! Friend! 仲間になるために決まっていマース!」
長身に違わない長い腕を広げ、屈託のない笑顔でトムさんはそう言った。
――ところで、「アメリカからのトム」って、奇妙な言い回しだね。
「これからUnknownのAttackに対し、Counterattack、すなわち反撃するのデス! であるならば、TeamworkをUpするために、necessary、必要なことなのデース!」
「まあ、そう言われりゃその通りだがな」
「だと言うのに、周りのPeopleは妙にIrritation、苛立っていマース。そんな中、YouたちだけがRelaxしていマシた」
「なんか、アタシらが平和ボケしてるって言われてるようで嫌だ!」
「――けど、ちょっと気持ちは分かりますよ。他の、同じ平和維持継続室から派遣されてきたはずの人たちも、殺気だっていますし」
「特に、ロシアのPeopleの周りはそれが際立っていマース。Group of Eight、主要国の中で、唯一Raid、奇襲されなかったことが原因のようデース」
トムさんの言う通り、特にその周辺はかなり緊張した空気で満ちていた。一色触発、何らかの騒ぎが起こったとしても不思議ではないような、彼らの口調。
確かに状況は逼迫しているし、悠長に構えているときでもないだろう。
だが、足並みを乱し転んでいては、そこを付け入られる可能性もあるのだ。僕はまだまだ半人前だけど、あの様子を見ると、それに対する不安が嫌でもよぎる。
――そんな時だった。
「――っ、何だ!?」
「っ、おいおい――!」
早速、能力を使った争いが起こり始めたのは。




