《第506話》『光刺しこむ世界と、闇が澱む世界』
「――というわけだ。諸君らにも力を貸してほしい」
零坐を横に従えた妾がそう言うと、一斉にかつて狂気鬼の部下だった者達はざわめき始める。
その中には、不満を含んだ声も多い。当然だ。彼らは一様に、表の世界にはじき出された者達、あるいはその末裔なのだ。
光当たる世界を守るために戦えと言ったところで、闇に追いやられざるを得なくなった者達がそれに異を唱えることは分かっていた。
だが、仮にもこ奴らを纏めていた妾にも、それは分かっている。無論、本当に「そう言った戦い」なのであれば、それを頼みこむつもりなどなかった。
だが――、
「諸君らが頭に入れておいてほしいことがある。これは、ただ光の世界に生きる者達同士のいざこざではない、と言う事だ」
再び、ざわめきが起こる。この話を行っているのは、かつて妾が住処にしていた家、その前だが、よもやまたまた利用する日がこようとは。
「恐るべき力を持つ新生国家ラ・ムーと名乗る者達は、世界に対して無差別に攻撃を――いや、むしろ世界全てを敵に回し、攻撃を始めている。そんな中、我々だけが対象外であると、どうして断言できよう?」
だが、どんな時でも使うべき時が来たら。協力するべき時が来たら、どうすべきか。
妾は、上に立っていた者としてそれを諭してやる。自ら戦うのは勿論だが、多くの者に影響を与えることができるのなら、それもまた「すべきこと」だ。
「絶対とは言い切れん。強制もせぬ。だが、今やるべきことは何か。それを考えた上でお前たちには動いてほしい。だからお前たちには――、」
「全くババァがいつまで俺達のカシラァ気取って吹かしてるつもりだ、あァ?」
その時、者共の後ろからチンピラじみた声が上がった




