《第505話》『指をくわえてみているつもりはなし』
『そ、速報です!』
テレビの女性ニュースキャスターが、恐怖に戦く様子で声を上げ、僕らは再びテレビに注目した。
『世界各地で、ミ、ミサイルによるモノと思われる爆発が発生しました。場所はフランスのパリ。アメリカ合衆国、ワシントンDC、イギリスのロンドン。ドイツ、ベルリン。イタリアのローマ、カナダのオタワ。いずれも、主要国首脳会議の参加国の首都で――』
「マジで、本格的に攻撃始めやがったね――」
「いや、これでもまだ脅しの段階ではないだろうか。容赦なく首都を撃ち抜くことで、焦らせにかかっているのだ」
「世界規模の脅し――」
早く何とかしなければ、と思う。しかし、あまりに規模が大きすぎ、そしてその「新生国家」とやらの場所も不明だ。
「妾は、かつての部下たちを収集し、探らせてみる。首都だけでなく、世界が焼け野原になってしまわぬうちにな」
「呉葉、僕達はどうすれば――」
「平和維持継続室のサーチ力がどれほどのモノかはわからんが――上から何か情報をもたらされるまで、待機しておいたほうが良いだろう。そっちはそっちで、一先ず組織のネットワークに頼ってくれ」
上層部からはまだ何も情報が来ない。指示待ちに甘んじるつもりは、きっとここに居る誰もが無いだろうが、かと言ってある程度足並みをそろえなければ、組織の意味がない。呉葉の言うことももっともである。
「――さて、流石の妾も、国などとのたまう正体不明の輩などとは戦ったことないからな。どうしたものか」




