《第502話》『攻撃はどこから?』
「う、そ――ですよね、これ……?」
「いや、紛れもない現実、だよ。言いたいことは、スゲーわかるけどねぇ」
職場である、平和維持継続室の地方事務所。緊急で呼ばれた僕は、クラウディア・ネロフィ先輩と共に、テレビ画面に映し出された映像を見ていた。
ここに映し出されているのは、本当にあのビルが立ち並んでいた東京23区か?
画面に映る上空からの映像には、どこまでも広がる焦土が映し出されていた。
街の残骸は大地に埋まり。空は薄暗い。降り注ぐ灰がまるで雪のように天より舞い踊る様は、「人類滅亡の日」というタイトルがしっくりきそうな光景だった。
「着弾したミサイルの発射地点は、未だ特定できてはいないそうです」
百々百々 憲寿所長が、頭頂部から汗びっしょりな様子でそう語る。
「ミサイルだったら、わからねぇってことはねぇだろ。普通、ミサイル警戒装置に引っかかるもんだろ? 国内から発射されたとでもいうつもりかよ?」
「…………」
狼山 駿也先輩と、そのパートナーである思誓 遊ちゃんも、緊迫した面持ちだ。というか、ここに居る全員がそんな表情をしているだろう。当然、僕も含めて。
「いや、国内から発射されたら、それはそれで音で分かるもんだと思うけどね。けど、そんな様子は一切ない」
「じゃあむしろ爆弾とかじゃねぇのかよ?」
「いいえ、ミサイルであることには間違いないそうです。崩壊する直前の映像によると、どこからともなく飛来してきたそれが、閃光と共に弾けたのです」
謎が謎を呼ぶ事態。怪事件、というのはあまりにも規模が大きすぎ、状況は混乱を極めている。
そんな時、だった。
テレビの映像が乱れ、画面に再びあの時のように人物が映し出されたのは。




