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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十六章
497/1022

《第496話》『しすぎな準備』

「夜貴、少し相談があるのだが――」

「ど、どうしたの?」


 勤務から帰ってくると、妙に深刻な顔をした呉葉が、リビングのソファに座って待っていた。この間の乾パンを食べ過ぎた時に、顔が似て居なくもない。


「そ、それが、それがな?」

「う、うん――」

「しょ、商店街の福引が当たったのだ」


 拍子抜けした。


「な、なんだ、何か大変なことが起こったのかと思ったよ」

「いや、大変なことなのだ――」

「あ、普段当たらないから当たってびっくりしたとか? もしかして、ハワイ旅行でも当たっちゃったり――?」

「そうではない、そうではないのだ――」


 呉葉は立ち上がると、僕の手を引いて外に出た。そしてそのまま、物置へと向かう。

 そうして呉葉は、鍵を開けて引き戸を開いた。


 視界が、真っ赤に染まった。


「当たったのは消火器一年分――数にして、365個だ……」

「毎日ボヤ騒ぎを起こせと!?」


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