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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第二章
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《第四十八話》『現れたそれは、』

「う、うぅ――っ」

「さて、と――」


 穹島先生を奥の壁に叩きつけた呉葉は、僕を見下ろした。

 あの時同様、乾いた瞳で。


「どうやら、今の妾はお前が意識を失えば消えるらしい。さて、どうしてくれようか」

「こ、このままひと眠りさせてくれたら、嬉しい――がっ!?」

「今の話を聞いておとなしく妾が許すと思ったのなら、貴様の頭は熱帯雨林だな」


 お、お花畑じゃないんだ――!? いや、それの上位互換的な意味で言ったのは分かるんだけどさ!?

 ――やっぱり呉葉は呉葉だった。けど、状況は普段通りとはいかない。


「まっ、待ちなさい――っ! そこの鬼神……ッ」

「うん? ああ、そうだった。貴様もいたのだったな。だが、正直全く興味ない」

「なんですっ――ッ!?」


 呉葉は仕掛けようとした藍妃の武器を一瞬のうちに払い飛ばした。攻撃の隙も、まるで与えられない。


「妾には、世の平定のために君臨するという重大な使命がある。悪いが、消えるわけにはいかんのだ」

「――で、でも、それはつまり……僕にずっと意識を保ってろとでも言うつもり!?」

「当たり前ではないか」

「無理だよ! どれだけ頑張っても絶対寝落ちするよ!?」

「無理と言える時は、実はまだまだ頑張れるものだぞ?」

「ワタ○!?」

「それでも無理だというのならば――そうだな」


 そう言って、呉葉は服のボタンを外し始めた。


「何やってんの!?」

「跡継ぎ作って、そいつに役目を引き継がせようと思ってな」

「至るところからもうツッコミきれない問題が!?」

「うん? 何、突っ込みたい? おとなしそうな顔をして、案外肉食系だな」

「ちょちょちょ、ちょっと夜貴!? あんた何言ってんの!? この浮気者!」

「僕のせいじゃないよね!? というか浮気者って、そもそも藍妃とつきあって無いし、大体僕既――」

「よーし、妾張り切って寝取っちゃうぞー」

「ストップストップ!? うわああああああああああああああああああああああっっ!?」


 だんだん調子に乗り始めたのだろう。呉葉は興奮半分、勢い半分で次々とボタンを外していく。

 まさか、過去の妻に犯されることになるとは――、


 がぼんっ!


「ぬはァッ!? 何事だ!?」


 突然、呉葉の頭にジャック・オー・ランタンが被せられた。


「貴様こんのォ、どこの痴女だァアホォ!!」


 そこにはもう一人――僕の妻であるほうの呉葉が立っていた。


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