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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十五章
485/1022

《第484話》『時を越えることで生まれる歪み』

「おかーさん――?」

「妾も、正直なことを言えば未だ危険の残る未来に、お主らを帰すのは心苦しいと思っていたところだ」


 呉葉は、不敵な笑みを浮かべ、全身に殺気を漲らせながらそう言った。ぽきぽきと指を鳴らし、その言葉通り、全てを破壊せんとでもするかのように。


「おかーさん、それは――っ」

「何か問題があるのか? その時代の妾は、既に命を落としている。時空統合の仕組みを正確には把握してはおらぬが、このまま妾自身が未来へと赴くことも可能だろう」

「おかーさんは、邪気の影に敗れて死んじゃったんだよ!?」

「相手がどれほどの力を持っていようと、タネさえ割れていればどうにでもできる。それでもって、後はこの時代なりお前たちの時代で共に暮らせばよいのだ。煩わしいモノなど、全てなぎ倒してな」

「……――っ、」


 活葉も、そして謳葉もおまけに、顔をしかめてしまった。理屈ではない。そのあまりに横暴な、筋を通さない発言は、感覚的にその道理を逆なでしている。


「…………」


 しかし、それに対し夜貴は何も言わない。絶句しているのではない。呉葉が、何を伝えんとしているのか、それを理解しているためだ。


「どうした? 妾はてっきり、喜んでくれると思ったのだがな?」

「おかーさんは――」

「うん?」

「おかーさんは――おかーさんは、どうなるの?」

「どうなる、とは。どういうことだ?」

「おかーさんが居なくなったら、この時代のおかーさんを大切に思ってくれているヒトは、どうなるの? おかーさんのことを大切に想うヒトがたくさんいるのに、おとーさんだって――」


 本来あるべき時代に生きる、と言う事。それは、そのヒト本人だけの問題ではない。


 その問題は、その時代に生きる本人。周り、その全てにかかってくる。


 一見何事も無いように見えても。必ず綻びは生まれ、要らぬ不幸を招く。


 時を渡る、道理を乱す、と言う事は。裏にそんな歪みを作る行為、そのモノなのである。


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