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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十四章
479/1022

《第478話》『どうも、今年もよろしくお願いします』

「「「「新年、明けましておめでとうございます」」」」


 リビングの食卓の上に並ぶ、四つの段を分けて置かれた重箱。それを囲むは、二人並んで順に、取り立てて特徴のない一人の少年。その向かい側に並んで白い髪に白い肌、赤い瞳の少女。そして、その少女によく似た容姿の、これまたそっくりな二人の女の子。


 重箱の中身は赤と白二種類の縁取りのかまぼこ、黄金色をした栗きんとん。ふわりとした黄色のだて巻き。それから田作り、黒豆、数の子。

 焼いた鯛に、どんと大きな伊勢海老。紅白なますを始めとした酢の物。里芋や蓮根、さらに筑前煮などと言った煮物。


 そして色とりどりなおせち料理の隣には、お屠蘇用の屠蘇機。日本酒の入った銚子、それから大・中・小の盃、盃台がお盆の上に置かれている。普段あまりそう言ったモノが置かれたりはしないが、新年一日目の行事には必要不可欠なモノ。


 そしてお雑煮。澄まし汁の中に、菜っ葉とお餅の入ったシンプルなもの。地域によってさまざまであるが、呉葉のつくるそれは一見簡素に見えて、特に汁に力の入ったモノである。


一月一日。今日は、お正月だ。


「うむ。実にいろいろあった。つらいことや苦しいこともあったが、喜ばしいこともあったことを忘れてはならん。何にせよ、無事で一年終えられたこと、素直に喜ぶとしよう。夜貴も無事退院できたし」

「まだ治り切ってるわけじゃないんだけどね――でもまあ、やっぱり家で、皆で正月を祝いたかったから」


「ほわぁああああ――ホンモノのおせちだぁ……っ! みてみて、おっきなえび!」

「謳葉。気持ちは分かるけど、はしゃぎ過ぎないの。はしたないわ」

「ふふん、ここに居るのは家族だけだぞ活葉」

「うん、そうだよ活葉。そのうずうずした気持ち、とどめようとしなくていいんだよ?」

「――流石おとーさん、お見通しというわけ、ね」


「ねーねー! おさけ! たしか、そーいうぎしきがあるんだったよね!」

「うむ、お屠蘇だ。一年間の邪気を払い、長寿を願う、という意味がある。年若い順から、この盃で飲んでゆくのだ」

「はーいはーい! わたしいっちばんのりーっ!」

「謳葉、あなたは姉でしょう? 妹のわたしが先だわ」

「ずーるーいー!」

「あはは、新年から喧嘩しちゃダメだよ。盃は三つあるし、同時に頂いたらいいんじゃないかな」

「わたしおっきいのがいい!」


「言っておくが、お前たち全員未成年なのだからな? がっつり飲むでないぞ? 一舐め程度でとどめておくのだぞ?」

「振り?」

「振ってない! 子供の健やかな成長を願うのも、年長者たる妾の務めだ!」

「君だって未成年みたいじゃないか」

「妾は千歳以上だからとっくの大昔に成人済みだッ! 妾はいいの!」

「精神年齢は――」

「やかましいわいっ!」


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