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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十四章
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《第476話》『出血多量』

「幼馴染、知っているか? もはや一年経つというのに、夜貴はウブなまま。口づけは未だ片手で足りる程度にしかしたことは無いし、当然妾は子を身ごもったことすらない」

「でもアンタ、あの白い二人は――」

「あの子らはいろいろ話がややこしくなるから、一先ず話は置いてくれ」

「妾との婚約は、夜貴の中に刷り込まれた意志が行ったモノ。ならば本来ならば、それに準じていくもの。しかしあいつは――、」

「あいつは?」

「あ、あいつは――」

「――?」


「そのたびに、鼻血を噴き出してきた――」

「――は?」


「鼻血を出して、出して、その都度状況を中断してきた――中断してきやがったのだ、あの男は……っ!」

「ちょっと待ちなさいよ、そう言う流れじゃないでしょ!? 何それバッカじゃないの!?」

「やかましい! 妾の身の内からあふれ出る性欲は、何度も何度も多量出血によって阻まれてしまったのだァ!」


 呉葉はまるで子供のように、その手足をばたつかせた。体格が体格なので、すごく様になっている気がする。


「封じられた意志が妾と夜貴を結び付けた。しかし、夜貴はそれに抗っているのだ。真に自分が、妾を本気で愛していると納得する、その時まで」

「――鼻血で?」

「うむ、鼻血で」

「色々ここまでの空気を台無しにしている気がするのは私だけ?」

「問題ない。割と早い段階から台無しにしている」


 けれども、と。私は思う。この女は、どうしてそこまで想うことができるのだろう、と。

 それはまるで優しく包み込むかのような想い。相手を理解し、認め、そして愛す。それは私には思い至らなかったことで、しかし、呉葉はまるで呼吸をするかのごとく自然に、すんなりとそれを成している。


 ――こう思うのは、今日で何度目だろう。


 ああ、到底叶わないなぁ。


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