《第470話》『鉄砲持ったサンタクロース』
「アンタ、何やってんのよッ!」
「だべっ!? 静波多 藍妃!?」
お尻に生えるたぬき模様の尻尾を確認するや否や、取り出したスタンガンを押し付けに行く。さっきはつい頭に血が上って病室で銃をぶっ放してしまったが、今度は抑えた。夜貴に直撃しては、大変だからだ。
「くっ、静菱め、何をしているんだべか!」
「アンタ――妖怪だったのね」
目の前の少女――確か、ふうりとか言ったか。少し前に、妙な計画を持ち掛けてきたのを覚えている。
その名も、「目立つ釘を打ちまくれ計画」。概要を聞きはしたが、正直アホらしいと私は思い辞退したが――よもや妖怪だったとは。
あの呉葉もそうだったが、最近の妖怪はどいつもこいつも、妖気を隠すのがうまいらしい。
「げっほげっほ――っ! 藍妃、待って……っ」
「何を待てっていうのよ!」
何故か夜貴はマスタードまみれで制止してくるが、わざわざそれを聞き入れる意味を感じなかった私は、割れた窓に着地したそいつへと向けて、取り出したマシンピストルを発射しようとする。
「ひっ!?」
「死ね、妖怪ッ!!」
動きは大して早くない。この距離ならば蜂の巣にできる。その刹那の間に、私は達成感めいたモノを覚えながら、引き金に指をかける。
「だから、やめなよ藍妃――ッ!」
「なっ」
しかし、それを寝ているべきである夜貴が妨害した。横から手を伸ばし、銃口をそらす、といった方法で。




