《第462話》『遠き時代の、懐かしきおもひで』
「そ、そんなことより、早く手がかり探しと行こうではないか、『幼馴染』!」
また妙に強調した呼び名と共に、布切れをひっつかんで眺めはじめる呉葉。――そんなやり方で、何か分かるのだろうか。鼻でニオイを嗅ぐわけでもあるまいし。
私は私で、他の布切れを探ることにする。ここでどこからともなく取り出したるや、一見ただのスマートフォン。しかし、この改造スマフォには、組織御用達の検知アプリが入れられている。
「むっ!」
「っ! 何か見つけたの!?」
私は呉葉の方を振り返る。その掌の上には、黄色い板っキレみたいなものが乗っている。
「これは――ディ○クカード!」
「――何それ?」
「知らぬのか!? ファミ○ンと、その周辺機器であるディスクシ○テムを! ああ、懐かしいな! 当時の思い出が蘇ってくるようではないか!」
何やら一人、興奮し始めている。
「懐かしいなぁ。こっそりこいつのために出歩いては、しょっちゅう零坐に怒られたモノだ。こいつをだな、ゲームショップに持って行って、新しいゲームデータに書き換えてもらうのだ。そうするとだな、」
「いいわよ懇切丁寧に説明し始めなくて!」
「むぅ――」
「悲しそうな目でこっち見ないでよ!? 手がかり探るんでしょうがァ!」
「うむぅ、分かった――」
「こっそり仕舞おうとすんな!?」
――やっぱり、コイツいろいろダメなんじゃなかろうか。人間とかどうとかそう言う事とはもはや別に。




