《第461話》『見極めるのも、幼馴染たる私の仕事だ』
「さて調べるとしようか。夜貴の『幼馴染』!」
妙に「幼馴染」という単語を強調してくる呉葉。それはまるで、自分こそが夜貴の妻である、と言う事を主張しているようだった。――若干、言い方に子供っぽいところがある。
私と呉葉は、仮面と黒い布だけとなってしまった怪人が誰と繋がっているのかを探るべく、先ほど襲撃された病院裏にいた。
本来なら、上に連絡を取るべきなのだろうが――どうにも立て込んでいるのか、電話しても出ない。ウチの事務所所長はよくそんなサマで所長に選ばれたのか、と言いたくなるほど不真面目なヒトだが、いくらなんでもちょっと適当過ぎやしないだろうか……。
「というか、アンタ何者よ?」
「うん? 何を隠そう、夜貴の妻だが!」
「それはもう聞いたっての。どう考えても、アンタは普通の人間じゃないでしょ」
「ぎくっ」
「反応を口に出すヤツ現実で初めて見た!?」
「い、いやいや、いや。妾は人間! そう、ちょっと強い人間だ!」
「割と厄介そうな怪人を三体まとめて吹っ飛ばす人間がどこにいるのよ!」
「いるだろう!? 平和維持継続室所属の奴らの中には何人か!」
そりゃあ、いる。いるけどさぁ!
「私の直感が告げてるのよ! アンタはそう言う類のヤツじゃないって!」
「く、ぐ、ぬ――」
呉葉は、私の何の根拠もない指摘を受けると、口を噤んでしまった。そして続く、小さな独り言。「これ以上」だの、「記憶」がどうこうだの、「よろしくない」だの、ハッキリ聴き取れはしなかったが。誤魔化しを考えてでもいるのだろうか。
「そ、そんなことよりだ! 妾と貴様は怪人の仲間を探りに来たのではなかったのか!?」
そして、あからさまに話を逸らす。――やはり、この女には何かある。
夜貴と一緒にいるにはふさわしくない、何かが。




