《第458話》『下地シリアス。乗せるモノはギャグコメディ』
「いやだって、夜貴へのこれは考えようによってはぐっじょぶ――」
「ん?」
「いやいや、いやいや、何でもない。何でもないぞ。うむ」
「――僕、傷がふさがったばかりなんだけど」
「ギャグ時空ではスプラッタもコメディに変わるからな!」
「ここは現実だよ!」
夜貴と呉葉が、何やらアホらしい言い合いをし始めた。だいたい、そんなことやってる間に――、
「――あんたら。アレ、いいの?」
「何?」
バラバラになった怪人の頭――正確には、奴のつけていた仮面がカタカタと動き、死にかけの虫のようにのろのろその場から遠ざかろうとしていた。
「おおっと、そうだった。妾の車をあのような姿としてくれたことを、後悔させてやるのだった」
がっと、呉葉は人間の身体能力ではあり得ない俊敏さで仮面を押さえつける。
『クカッ、どうやら貴様は、ワレが貴様の車に何かを施していたと思っているようだが、』
「む――?」
『それはワレと同じ志を持ちし者による仕業! 心をゲンナリさせるという、崇高なる目的意思のな!』
「なんだと!?」
「――崇高?」
「ならば言え、そいつはどこのどいつで、どこにいる!?」
『クカカカッ! わざわざわざと言うと思ってか! 謎なる存在に、過去の不安をなぞらえるがごとく怯えるがいい!』
そう言って、怪人トンマロクの仮面は消滅した。
――なにこれ?




