《第457話》『いいえ、ケ○ィアです』
「夜貴! 白いドロドロまみれだが大丈夫か!?」
「な、なんとか――というか呉葉、どうしてここに……?」
現れたのは、夜貴の奥さん。名前は――そう、呉葉。
体格は第二次性徴途中の少女で、白い髪に透き通るように白い肌。服装はところどころにフリフリのついた白い普段着ドレス。
全身白ずくめだが、その中で赤い瞳が、新雪に落ちた木の実のごとく存在感を放っている。
こことは異なる、別の世界からやってきたかのような美少女。私の頭の中に、そんな例えが思い浮かぶ。
しかし、小柄で華奢な見た目のその奥さんは、そんな儚げな美貌とは全く異なる、強靭にして絶対な存在感を放っていた。
怪人たちを、一瞬にして粉砕してしまったことを、何の文句も無く納得させてしまうほどに。
「しかし、このような夜貴の姿を見ると、ふむ――どうにも、こうにも。妾にそんな趣味は無かったはずなのだがな」
「はい?」
「うっ――……ふぅ、」
「どうしたの? 調子悪いの?」
「んむ? ああ、いやいや、何でもないぞ。あっはっはっはっは」
「???」
「――それはともかく、だ」
ただの人間ではあり得ない、その気配。――あれ、前も同じようなことを思わなかった私?
『ク、クカッ』
「ほう? まだ口を利く元気があったか。まあ、そんなことはどうでもよい」
「い、いくらなんでもやりすぎだって――! こんなんだけど、僕は別に怪我はして、」
「妾の牙跳羅によからぬペイントをしたのは貴様だなッ!?」
「そっち!?」




