《第453話》『カレーとはどう言うモノなのか』
「い、いったいアンタいつの間に!?」
『ワレは神出鬼没。どこにでもいてどこにもいない、どこの馬の骨とも分からぬ輩!』
「唐突な自己卑下!?」
怪人は謎の文句を垂れると、唐突にかぶっていたシルクハットを外した。
『さあ、ここにあるはワレが外したシルクハット。ここより飛びだすは鳩か土鳩かはたまたドバイか!?』
「(ドバイ――?)」
『しかしワレは悪逆非道にして悪辣無比! 故に!』
そしてつばを持つと、かぶり口をこちらへかざしてくる。
『カレーを出す』
そう言うなり、そこから茶色いホカホカの流動体が飛び出してきた。たまねぎ、じゃがいも、お肉の混ざった大衆に好まれる食物が、火口から噴き出るマグマのようなそれが、広げた掌のように襲い掛かってくる。
夜貴を庇いつつ、そのもったいない攻撃を回避する。
「ちょっとォ!? こっちの服は白いのよ!? ついて取れなくなったらどうするのよ!?」
『カレーは投げ物!』
「投げ物でも飲み物でもないわよ!?」
『ちなみにワレはにんじんが嫌いだ』
「あっ、だからにんじんが入ってないんだ――」
「知ったこっちゃないわよンなこと!」
『クカカカカッ! カレーはいくらでも出てくるぞ! そォれ!』
「っ、調子にィ――……」
アタシはスカートの裾から、グレネードランチャーを取り出した。
「乗るなァああああああああああああああああああああああああッッ!!」
『クカァッ!?』
榴弾が、怪人のどてっぱらに直撃。病院内では周囲の人々に危険があるため行わなかったが、ここは外だ。
怪人は、カレーをまき散らしながら吹き飛び、地面を丁度三回転がってうつ伏せで倒れた。




