《第452話》『呼ばれなくてもドドドドンッ!』
「なんとか、撒けた――?」
病院の路地裏。昼間でありながら、壁に囲まれ薄暗いそこ。出っ張った壁に身を隠し、周囲を伺うが、追いかけてくる影は見当たらない。
「う、ぐ、く――大丈、夫?」
「ひとまずは、ね。それと、大丈夫? はこっちのセリフ。傷口開いてない? すごく、痛そうにしてるけど――」
「――今にも開きそう」
「えぇっ!? ちょ、ちょっと、見せなさいよ!?」
「えっ、ちょ、そ、そんなっ、はずかし――」
「四の五の言わない!」
抵抗する夜貴を無理やり振り向かせ、パジャマを脱がせた。
――身体の面積、その大半を覆う包帯が痛々しい。だが、夜貴の言うような状態には、到底なっていないようだった。
「むぅ、なんだ、大丈夫じゃないの。えいっ」
「痛っ!? 叩かないでよ!? 例え軽くであっても痛いんだよ!?」
「あははっ、ごめんごめん」
とはいえ、無理をしては本当に傷が開きかねない。あの怪人、その行動の意味がまるでわからないし、今のところ致命的な被害を被るようなことはしてこない。
――が、かと言って、手にかかればどんな酷い目に会わされるかわかったものではない。精神的屈辱は、身体的な傷同様望むべくではないのだ。
『呼ばれず飛び出てダダダダンッ! 怪人トンマロク参上ッ!』
「――っ!?」
次の行動をどうすべきか、考えていたその時だった。
あの真っ黒な怪人が、いつの間にか背後に立っていた。




