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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十四章
449/1022

《第448話》『このじくじくと後を引く、今は苦痛でしかないかもしれない想い』

「それって、アンタの奥さんだっけ」

「うん。藍妃は会ったこと――あー、えっと、どうだったかな……」

「そりゃあ、当然――あれ、どうだったっけ……」


 会ったことあるような。はたまたないような。頭の中で、軽くパニックが起こる。長い白髪で、小柄な女――というか女の子、だったことは覚えているのだが。


 けれども、大事なのはそこではない。問題は、私の知らぬ間にコイツが結婚していたこと。

 18で結婚というのは、いささか早すぎる、とは思うのだが、我が国の法律では可能とされている以上、それは仕方ない。

 しかし、幼馴染にも等しい、しかも、その、なんだ。気になっている男の子が、離れている間にそう言う関係を結んでいた(しかもしかも私が全く面識のない相手である)と言うのは、かなりショッキングだったのだ。心臓に、鉛筆をブッ刺される感覚くらいには。


「――藍妃? ぼーっとして、大丈夫……?」

「え? あー、うん、えっと――最近ちょっと忙しくて寝てないだけよ」


 嘘。任務に駆り出される回数や時間はそれ程変わらず、しかも非番の日まで駆り出されるほど優秀ではないため、生活習慣はかなり良好である。昨日22時寝、朝5時半起きである。


「無理しちゃだめだよ? 休めるときに、休んでおかなくちゃ。心配してくれるのはありがたいけど、自分のことを優先してほしいかな」

「――うん、そうね」


 暗に、「帰った方がいい」とまで言われた。確かに、そのほうがいいかもしれない。

大体、私は既婚者相手に何を期待していると言うのか。コイツのことだからまるで分っていないだろうが、いい迷惑にもほどがある。


「そんじゃ、私帰る。アンタこそ、ゆっくり休みなさいよね」

「あはは、そうせざるを得ないけどね」


 これでいいのだ。私と夜貴はただの幼馴染で、互いに当たり障りのない関係。それが一番楽だし、何より誰も不幸にならない。昼ドラの真似事なんて、死んでもごめんだ。

 そう思いながら、私は病室の引き戸を開けた。


 パリィンッッ


 直後、突然病室の窓が割れた。


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