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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十四章
448/1022

《第447話》『時間を巻き戻せたら。それはどんなにすばらしいことか』

 単純に、ヤバいと思った。


 訓練時代からの付き合いで、まだまだ子供だった、というのももちろんある。しかし、である。出てくる記憶のほとんどが罵倒なのは、我ながらドン引いた。

幼少期の私。いくらなんでもそこまで言わなくてもいいじゃない! 嗚呼、言わなくていいじゃない!


 ――ともかく。今日は。今日からは、もう少し優しく接することに努めようと思う。

今までが酷すぎた。酷すぎたったら酷すぎたので、埋め合わせになるとは思えないながらも、箸でお豆腐つまむがごとく、対応しようと感じた次第。


「ね、ねぇ、夜貴。何かしてほしいことない?」

「え? う、うーん、特にない、かな――?」

「な、何でもいいわよ? ジュース買いに行ってあげてもいいし、何か暇つぶしになりそうなものもってきてあげてもいいし!」

「そんなこと言われても、今は間に合ってるし――」

「じゃ、じゃあ、ごはん! ごはん食べさせてあげましょうか!? 背中大怪我したんでしょ? だったら、腕動かした時ひきつって痛いんじゃない?」

「ううん、目いっぱい伸ばさなきゃ大丈夫かな。それにもう食べちゃったし」

「じゃ、じゃあ、着替えを手伝って――」

「さっき済ませたよ」

「…………」

「…………」


「もうっ、さっきから何なのよ!?」

「えっ、なんで僕怒られたの!?」


 ああっ、もう、バカバカ! 3、4が無くて、5にバカ! 私の大バカ!

 本当に、バカ、というかアホだと思う。今しがた、優しくするって心に決めたところなのに。つい怒鳴ってしまった。夜貴も、今の余りに脈絡のない怒り方に、困惑している。

 今度こそ。今度こそ――心穏やかに、穏やかに。


「大丈夫だよ、だいたい呉葉がしてくれたし」


 きゅっ、と。


 その名前を耳にした時、心臓が握られたような。心が遠くへ飛んでいくような。気が遠くなるような――、


そんな錯覚を受けた。


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