《第446話》『できることなら、過去の戻って自分の口を縫い合わせたい』
「う、うん、久しぶり」
「任務で大怪我したって聞いたけど――思ったよりも元気そうね」
「う、うん、幸い、ね」
「まあ、大して心配してなかったけど」
まあ、夜貴に大事が無いというのは聞いていたため、敢えて言わずとも、というのはある。
しかし同期である私としては、やはりこの目で見ないと安心しきれなかった。が、そんな想いを秘めて来てみたら、この憎たらしい顔である。
――ああもう、いつもこんな突き放した態度とっちゃうからダメなんだって静波多 藍妃!
「え、えっと、ぉ――」
「――?」
「い、いい天気ね!」
「えっ、あ、うん。ちょっと、風はあるらしいけど」
「最近どう!?」
「どう、って――怪我してこの通り入院中なんだけど」
「…………」
「…………」
会話終わっちゃったじゃない私っ! 何!? こんなにコイツとは会話続かなかったっけ!? 結構付き合い長いはずなのに!? これじゃあまるで疎遠のお友達みたいじゃない!?
昔は! 昔はどうだったか! それを足掛かりにしようと思い、私は思い出してみる。その当時の私と夜貴のやり取りを。
「ちょっと、あぶないじゃない!」「どんくさいわね、何やってんのよ!」「シャキッとしなさいよ、候補生でしょ!?」「あんた馬鹿ァ!?」「どこ狙ってんのよこのノーコン!」「いっぺん死んで生まれ変われ!」「チンパンジーの方がまだ物覚えいいわよ!」「ドジ! マヌケ! ノロマ!」
あんらまぁ一方的な悪口ばっか――……、




