《第444話》『小狸妖怪ふうりのいたずら百鬼絵巻』
「けっけっけ、ざまあみろだっぺ!」
「おい、流石にやりすぎだろ――?」
しもべ一号こと、狼山ナントカとか言う人間が、おらにもの申してくる。まったく、公園のベンチで退屈そうにしていたから、手下にしてやったというのに。
「というか、狼山 俊也! あなたは平和維持継続室の戦闘員のハズでしょう!?」
「お前もだろカオルなんとか。あと、一応俺もお前の先輩だぜ――?」
「いいえ、妖怪など滅ぶべき! ましてやそれを見逃す戦闘員など! 今こそイオナズンで――」
「その爆破でも思いっきり協力してなかったか――?」
いやはや、あの赤毛の女の書類が吹き飛ぶさまは、なんともいい気分だった。ヤツの狭い尻ポケットの中で、すまふぉに化けていたかいがあったと言うモノ。だが、おらが指示した襲撃はそれだけではない。
「ううっ、鳴狐様――っ! 拙者は、拙者は悪くないで候……っ」
「えへっ、えへっ、狂気鬼様、よろこんでくれた、かな――? …………」
侍渺茫と静菱。こいつらもまた、おらの子分たちにしてやった。九尾の狐と狂気鬼と言う二大大妖怪を陥れるためにどうすべきかと考えていたが、丁度よく、足掛けにできるやつらが見つかったのだ。
「さてさて、お次はヤツだっぺよ。頼めるっぺな?」
「…………」
おらは、残るアイツに仕掛けるために、強力な助っ人に声をかけた。無言でやる気を漲らせるその様子は、とてつもなく期待感を煽られる。
ふふっ、おらたちの時代が迫ってくる足音が聞こえるっぺ!




