《第443話》『いっせんごひゃくまんえん』
「おとーさん、げんきそうだったね!」
「ふっ――妾の夫が、あの程度の傷でぐったりしたままのハズがないからな!」
「その傷を作ったのは、おかーさんだけど」
「ぐはっ」
事実であるために、否定できずに精神的な痛みが妾を貫いた。
妾達は先ほど、夜貴の見舞いに行ってきたところだ。平和維持継続室関連の病院の一室で、今は療養中である。
ちなみに、これからちょっとお昼ご飯に出掛けるところだ。その後は、一度夜貴の病室に戻り、その次に買い物に行くなりなんなり、と言ったところか。
「夜貴が完治したら、お前たちはどこへ遊びに行きたい?」
「あそびにいけるの!?」
「当然だとも。――そこまで驚くほどのことでも無かろう?」
「謳葉とわたしは、半分妖怪で、力も強いから、あまり許されてないのよ」
「むぅ?」
「なんかねー、こどもにはんだんりょくがどうとか、なんとか?」
「つまりは、信用されてないのよ。幼い化け物が二人、外で何かやらかしたらどうするのか、ってね」
「むむむ――なんとも許しがたい話だ。……だが、それならそれで、よくこの時代へ二人で来ることが許されたな?」
「ほんとーはね、もうひとりくるよていだったんだよ?」
「でもイヴの策略によって、時空の彼方に――」
「さらっと恐ろしい話をしてくれるな!?」
あの天才幼女は、未来でも割と好き勝手しているようだった。グッジョブと言うべきか、それとも無茶苦茶するなと顔をしかめるところなのか――、
「さて、妾の牙跳羅は――……」
駐車場で、自分の車を探す。駐車場あるある。自分の車をどこに置いたか分からなくなる。
まあ、あんな素晴らしい車は他にない。見つけるのはそう難しくはないだろう。
うむ。すぐに見つかった。白の、R35 GT○Rニス○仕様。
ただ、何故だ。
何故、妾のR35がBL痛車になっておるのだ!?




