表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十四章
443/1022

《第442話》『恐るべき罠』

「うむうむ。やはり新築とはいい物じゃのう」


 人里離れた山林の、余が展開する結界に隠された隠れ家。そこに、遂に余が住まう屋敷が出来上がった。

 これで、高貴さのかけらもないあばら家からはオサラバ。ここから、余ら闇に生きる者共の、人間への復讐が始まるのだ。

 何? 住むところは大して関係がないじゃと? 病は気の持ちようと言うように、気分の高揚は、重要な要素であることは否定できようもない。故に、同胞共(わずか数名)に作らせたこの新築は、非常に大事な意味がある。


「む――?」


 と、そんな、これからの未来に思いを馳せていたその時である。


「誰じゃ!? 廊下のど真ん中にバナナの皮なんぞを捨ておったのは!?」


 出来上がったばかりの家に、こんなモノをポイ捨てするなど! たまたま余が通りかかったからよかったモノを、他の者であれば踏んづけすってん、怪我をしていたかもしれない。


「むぅ、仕方ないのう――」


 周りを見ても誰もいないため、余が片づけることにする。食べた者が、ごみは片付けるべきだろうに。それが世の中の常識、当たり前であるハズじゃろう! まったく、近頃の奴らは。――そう思い、妾は足元のバナナの皮を拾う。


 頭に、ごわんっ! という音と共に痛みが走った。


「っ、っだァ!? なん、じゃ――!?」


 それがタライだったこと理解しつつ、よたって足が一歩前に。

 つるん、と。バナナの皮を踏んで、余は後ろに引っくり返る。

 そして床に尻餅。すると余の体重は軽いはずなのにあっさりバキッと穴。

 そのままその下の泥水にドボン。


「ご、ばっ、な、なん、なんっ、なんじゃ――!?」


 汚泥で溺れる余に追撃のタライ二号。

 顔面からどっぷり顔をつけてしまった余は、頭の上に飛び出した耳でゴゴゴと言う音を聞く。


 ――な、なん、じゃ、今度は? いったい何の、


 よもやその直後、崩れてきた新築の屋敷に押しつぶされようとは、誰が予想したか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ