《第441話》『始末書の追加される未来』
「――ったく、次から次へと……っ」
アタシの名は、クラウディア・ネロフィ。人間と悪魔のハーフで、現在彼氏募集中の、平和維持継続室所属戦闘員だ。
次から次へと来る書類の山を、いい加減一刀両断したくなってきたため、背もたれに全力で背中を預けた。本当にぶった切ってしまったら、台無しどころの騒ぎではない。
何でも、ウチの組織の前のトップが突然行方不明になったとかなんとかで、新たなどなたかが新しく上になったとか。その関係で、人事を始めとしたさまざまな点が見直されたりなどするらしい。その関連の書類が、ウチの事務所にも回ってきているというわけ。
ただ、やはり。なんと言うか。アタシは、ペンを握って書類と格闘するより。刀と銃を握って人の世を乱す化け物どもと格闘する方が性に合っている人間だ。半分悪魔だけど。
ぶっちゃけ最近、こんな紙束とにらめっこする方が多いような気がすることは認める。
だが、アタシとて戦士。平和維持継続室に所属する、エリートクラスの戦力を持ったハンターなのだ。
しかし、上の連中と言うか、ピンポイントに言うと所長と言うか。ぶっちゃけあのハゲが、アタシに戦う仕事を任せてくれない。
「えっと、誰か、私の髪の話しました――?」
「言って無いし思ってもいないから」
「ディアさん? なんか今日、すこぶる冷たくありません?」
「気のせいだよ」
そのおかげで、どちらかと言うと戦闘狂キャラのハズが、すっかり常識人扱いだ。
というかあれだ、鬼、というか此度もピンポイントにコーハイとか呉葉ちんとか、その周囲の奴らのせいだと思う! 気が付けば夫婦のいざこざの話を聞いてたりするし。つーか窓割って入ってくんな! 業者に電話するの誰だと思ってんだ!
「――あれ?」
とかなんとか、自分語りを頭の中で一通りしてから書類仕事に戻ろうとして、アタシは気が付いた。
「しょちょー、ここにあった済み書類と、まだ済んでない書類はどこ行った?」
「いやいや、私に聞かれましても」
「そりゃそうだ――所長ずっとそこで書類と格闘してんだもんな……」
ちょっとした不思議な事態に不思議に思いながら。きょろきょろ、きょろきょろ。そうして、アタシの目に映る悲劇。
窓の外、集まって一羽の鳥となって天を舞う書類群――……あ、爆散した、




