《第434話》『どちらにせよ、それを確かめることは』
『あ阿唖あ、安部野のノノノッッッッッッ!!!!!』
邪気と妖力、それから霊力が複雑に入り混じった気配を漲らせ、道摩だったモノは叫び声をあげた。同時に、空間を切り開く能力が暴走でもしたのか、それに妾と狐は、周囲ごと飲まれてしまう。
「むむ、元は貴様の技じゃろう、なんとかしろ狂鬼姫」
「貴様ごときが妾に命令するでない。閉じ込めたままにしてしまうぞ」
『せ、ェ胃目ェエエエエエえええええ得ええ獲え絵ええええゑええィッッ!!』
蜘蛛の巣のように枝分かれした道摩の身体が、覆いかぶさるようにして妾達に襲い掛かってくる。かろうじて残っていたらしきハリボテの知能も、行き止まりの思考に持っていかれてしまったらしい。
「この程度――っ、ぐっ!?」
触手を鬼火で薙ぎ払おうと動いた瞬間、全身に焼けるような痛みが走った。
原因は、言うまでもなく自らの身に侵食してきた道摩の身体を焼いた、その後遺症だ。流石に、無茶だった、か――?
「全く、今日は何度余に助けさせれば気が済むのじゃ、狂気鬼」
代わりに、狐が大剣を用いて迫りくる触手を破砕した。
「――っ、駄狐……」
「勘違いするでないぞ? 母上の力の一部を返したからとて、残りは貴様が持っているのじゃろう! それを返してもらうまで、くたばられては困るからのう!」
「ちっ、テンプレライバルのようなセリフを吐きおって――」
痛みに耐えながらも、可能な限り最大火力で鬼火を放つ。この次元の裂け目ならば、どれほど無茶苦茶に力を爆発させたからとて、さしたる問題は起こらない。
今、あの男の物悲しき憎悪に、終止符を打つ。




