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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十三章
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《第430話》『残るモノは』

「く、ぐ、あ、な、なんて、ヤツだ――っ」

「まった、く、狂気鬼以上にふざけたヤツ、だ――ッ」


 道摩の破片が、身体の奥へとギリギリ、ギリギリ食い込んでゆく。猛禽類にわしづかみにされているような気分だ。


「だが、妾がこの程度、で――!」

「我が、ただ攻撃するためだけに我が身を分けたと思ったのか?」

「何――? ……ッ!?」


 目の前に、一瞬砂嵐が走った。

 風に乗った綿毛が、地面に種を運ぶように。その種から芽が出て、根が伸びるように。枝分かれした触手が、妾の身体に、そしておそらく、狐の身体にも根差してゆく。

 ――妾の頭をかたどった首が、妾達の前に浮遊する。


「これで汝らは我のモノだ。このまま侵蝕し、白面金毛九尾の狐の魂の破片ごと、汝らをこの身に取り込んでくれよう」


 空虚な魂が、がらんどうの声――音を発する。


 今の道摩が、妾のものだった邪気を取り込んでいるからか、奴の魂をほど近くに感じる。

 それが告げる、今の道摩法師。穴だらけのスポンジのようになってしまった存在。形成しているのは、もはや暴走する増悪のみ。


 何故、道摩法師はここまで朽ち果ててしまったのか。

 何故、かつての大きな存在はここまで空虚な存在となってしまったのか。

 何故、我が盟友がこのような目に会わねばならないのか。


 ――これでは、人間のように口をきいているだけで、脳ミソだけだった時とまるで同じではないか。


「……――決着をつけよう」

「――何? ッ!?」


 全身に、熱の痛みを感じる。魂すらも、引き裂かれるのではとも思えるほどの激痛。

 自身の炎を、根ざしている道摩法師の破片へと展開。肉の隙間と言う隙間を焼く鬼火。


「今一度問う。お前は何故、安倍晴明を憎悪する」


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