《第429話》『戦い続けた果てに、』
「っ、硬い――!」
「それで我を追い詰めたつもりか? 暴走していた時とは、打って変わって力が弱まっているぞ?」
「くっ――!」
結界の中に引きこもる道摩の姿が、その足元に出現した空間に飲まれる。妾もそれに合わせ、結界を足がかりにしながら自分のつくった空間の穴へと背面から飛びこんだ。
刹那。妾の居た場所に、巨大化した腕を振り下ろす道摩。
更にその上から、妾は鬼火球を放つ。だが道摩はすぐに空間の穴へと逃れてしまう。
着地した妾の背後から、鋭くねじくれた爪が襲い掛かってくる。それに対し、妾は振り返り、両腕に鬼火を纏わせて殴り返した。
二つの力が、衝突する――、
「そこじゃッ!」
三体の狐が、三方向から道摩に襲撃をかける。分身しながらも鋭い突撃は相変わらずで、過去妾も、どれほどアレに苦労させられたことか。
「甘い、甘いぞ! ハハハハハハ!」
まるで機械に繋げられたコードのような、空間の穴へと伸びる触手。それが蠢くと、三体の狐を真正面から串刺しにした。
「貴様がのう!」
道摩の真上から、四体目の狐が剣を突き下ろす。それに合わせ、妾は逃れられぬようにぶつかり合っていた腕を絡め取る。
――だが、
「まあ、ウォーミングアップにはなったな!」
爆裂し、無数の破片となり飛散する道摩。一つ一つが全て鋭い刃となったそれらが、妾と狐の全身を貫いた。




