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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十三章
424/1022

《第423話》『愛ゆえの痛み』

『……………………………………………………………………………………』


 鳴狐の名前を出したからだろうか? 少しだけ、周囲に溢れる気配が変わった気がした。

 呉葉に憑りついているときは、誰彼見境なく狂うだけだったその魂は、この場では聞く耳を持っているのかもしれない。


「あなたが多くのヒトを傷つけたのには変わりないし、それが元であなたが滅びた事実も変わりない。さらに言えば、そのためにあなたが自身の身よりも、何よりも大切にしていた鳴狐に危険が及んだことも」

『…………』

「けれど、それまでの道筋があったから、あなたが誰かのためにと頑張り続けたから、鳴狐は存在して、今も生きてるんだ。あの半人半狐は、あなたの人生の結晶そのもののハズだよ。なのに、それを否定してどうするのさ?」


 自らさえも、万物の滅びの糧にするほどの怒りは、体験したことが無いためにわからない。

 けれど、大切なヒトを想う気持ち。それだけは、心の底から理解できる。

 ――が、


『……――ッッ!! ……――ッッッ!!! ッッッッッ!!!!!』


 お前ごときが、何を知ったように。と、そう言わんばかりに炎から灼熱で冷徹な波動が巻き起こった。

 あまりの勢いに、僕は顔を覆う。


 彼女は、自分が身勝手な言い分で怒り狂っている、と言うのも頭では理解しているようだった。自分のことを棚に上げ、娘一人を見逃せ、と言うのが、どれだけ虫のいい事を言っているのかを。


 だが、理性以上に心が、それを納得しなかった。


 その苦しみが。理性と心のこすれ合いが。その苦しみが。それが如何ほどのモノか。

 愛しい者が、魂を引き裂くその痛み。それがお前にわかるのかと、怨念の中に見え隠れする意識が訴えかけてくる。

 ――――…………、


「――白面金毛九尾の狐」

『……――ッッ!! ッッッ!!!』


「――僕にも、愛する大切なヒトがいる」


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