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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十三章
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《第419話》『呉葉をただ、抱きしめる』

「ああ、やはりアレコレ考えるのは面倒だな。もう少し、この肉体のテストを続けるとともに、打ち倒して回収するとしよう」


 道摩の背中から、いくつもの棘が飛翔した。太さにして、成人男性の腕程はあるだろうか。

 それが、全て呉葉に向かって飛んでゆく。あらゆる方向、全身に狙いをつけて。


「ぎ、ァ、あああ――ッッ!!」


 しかし呉葉は縦横無尽にその尻尾を振るい、その全てを打ち砕く。その周囲に近づくことは、鼠一匹すら不可能だろう。


「ふ――っ!」


 だが、僕の目に、その防護網の内側へと開く空間の裂け目がうつった。その数もまた、多数で、そこから道摩の放った棘が放たれる。


「――っ、呉葉……っ」


 だが、対する呉葉はそんなモノどこ吹く風と、尻尾を空間転移で道摩の周囲へ。結界にて彼は阻むが、その壁はすぐに限界を迎え始める。

 さらに、彼女はその周囲に無数の鬼火球を展開。様々な軌道を描きながら、尻尾が今まさに結界を破った道摩へと密集。

 外から姿を確認できない程の全範囲攻撃は、文字通り逃げ場などないであろう。


「空間跳躍にも、そろそろ慣れてきたな」


 だが、呉葉の背後にストンと道摩は着地する。すかさず呉葉の姿が落ちるように下方に飲みこまれ、またその背後を取るように出現し、引き裂くように邪気に覆われた腕を振り上げた。


「いかに空間跳躍と言えど、自らの姿を突然かき消すわけではない。空間に穴を開け、潜り抜けて初めて移動が成立する。故に、そこに付け入る隙があるのだ。理性を失っているようならば尚更、な?」


 道摩は、それを呼んでいたかのように振り返り、呉葉の真正面へと手をかざした。そこに、妖力が結集。必殺の力が込められているのが僕にさえ分かる。


「呉葉ッ!」


 気が付けば、足が動いていた。

 正直言って、人知を超えた戦いが恐ろしく、足はがくがくと震えていたのに。

 直前の鳴狐の叱咤のためだろうか? 反射的に、その僅かな隙間を縫って触れられる瞬間には、身体が飛び出していたのだ。

 呉葉の身体を庇うように抱きしめ、道摩の攻撃から身を躱す――、


 呉葉から伸びた尻尾の一本が、僕の身体を突いた。


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