表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第十三章
411/1022

《第410話》『揃いきった要素』

 呉葉の腕を、足を、身体を、まるで包帯でも巻くかのように捕らえた、道摩の腕。質感はゴムかバリウムのような無機物そのモノで、とても生き物の一部であるようには誰にも思えないだろう。

 その上、今の道摩には頭がない。脳ミソはその頭上に浮いているが、呉葉の姿をかたどった人型の頭は、他の誰でもない、呉葉が吹き飛ばした。


『…………』

「ぐ、ゥ、ア――ッ!」


 呉葉に生えた九つの尾が開き、道摩の身体を真っ二つにする。

 しかし、道摩はまるで堪えた様子などない。それどころか、捕縛した腕から触手が現れ、何かを求めるように動き始める。


「おかーさん――っ」

「謳葉、今は引く、わよ――!」

「でも、おかーさんが――!」

「おかーさんが正気なら、まず間違いなく、逃げろと言っているわ! だか、ら――っ」

「――っ、」


 全くもってその通りだと、謳葉はしぶしぶ頷いた。今暴れているのは、自分たちの母親ではない何かなのだ。もし自分達娘を手にかければ、目の前の母親が悲しむ。

 ともにいる時間は短くとも、特別なつながりが彼女らの絆を強固なるモノにしていた。

 だからこそ、今はこの場から離れるのだ。母親が、あの化け物を倒しさえすれば、元に戻ってくると信じて。


「い、ぎぎっ、ぎ――ッ」

『…………』


 鬼火とも何ともつかない、真っ黒な炎が呉葉の全身から放たれる。その威力は彼女本来のそれとは比べもようもなく高く、容易く道摩の腕を焼き切った。


「…………」


 身体を元の人型に修復しつつ距離をとる道摩。それを、うつろな目で睨み付ける呉葉。どちらが、もはや何のために戦っているのかすら、分からない、そんな光景。


 ――――…………、


 そんな時。狂鬼姫の姿をした道摩の背中から無数の触手が弾け、その頭上にある脳ミソを取り込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ